ミクシィ担当者 2010年9月 3日 22:36
前回のコラムでは、
ネット上の不特定多数のユーザーとのコミュニケーションより、身近な友人とのやり取りに魅力を感じているユーザーが多いというのが最大の特徴だと説明しました。
今回は、分かりやすいようにmixi上の友人関係の構造を可視化してみることにします。構造を理解しさえすればきっと友人同士に最適化したアプリを作ってみたくなるはずです。
今回のテーマは、「ソーシャルグラフを知ることが成功への近道」です。
現在、mixiユーザーは2,000万人以上の方にご登録をいただいていますが、その2,000万人全ての方がソーシャルグラフという自分を中心とした友人のネットワークを持っています。いわゆる“マイミク”です。マイミクという自分を中心としたソーシャルグラフは一人ひとり全て違う形をしていますから、2,000万通りのソーシャルグラフが存在していることになります。
【2,000万通りのソーシャルグラフ】 平均マイミク数は約25人。友人との交流が盛んな20代前半のユーザーになると、その数は全体の平均マイミク数の何倍にもなります。 この人間関係図(ソーシャルグラフ)をネット上に再現したのがソーシャルネットワーキングサービスmixiである。 平均25人というソーシャルグラフが2,000万通り存在し、その数だけ内輪のコミュニケーションがなされている。 |
mixiでは、日記や写真などをUPすると、ソーシャルグラフを介して基本的に友人全員に情報が伝わる設計になっています。
mixiを利用し友人とのコミュニケーションを繰り返すうちに、友人の情報に対して更に高い関心を持つようになります。
mixiアプリではこのソーシャルグラフを再利用できるということが最大の魅力です。インバイト機能を利用してマイミクをお気に入りのアプリに招待したり、ゲーム上からつぶやき機能で友人に語りかけたり、友人の似顔絵を作成してmixiフォトに直接画像をUPする等が簡単に実現できるのです。
つまり、ソーシャルグラフは自分⇒友人という関係をつなぐものですが、その友人の視点から見ると、やはり自分⇒友人という関係が築かれているわけです。そしてそのソーシャルグラフは途切れなくどこまでも続いています。
アプリの新規ユーザーの獲得を考えた場合、この連鎖構造を利用してバイラルを起こすことが大きな参加者数を獲得するための最短ルートと言えるでしょう。
【mixiアプリのバイラルイメージ】 mixiのコミュニケーションは、 ソーシャルグラフの構造を利用すると ① 【アーリーアダプター】利用する ⇒ ②【第一世代】アプリの存在に気づく! ⇒ ③【第一世代】利用する ⇒ ④【第二世代】アプリの存在に気づく!・・・ このような連鎖を繰り返すことが可能である。 アプリの友人招待にも同様の構造を利用でき、ソーシャルグラフという再利用性の高いネットワークを介して、アプリへの招待が連鎖していく。 |
ミクロ的に構造を見たとき、「自分⇒友人」というソーシャルグラフが1セットとなっていますので、ユーザーが友人と一緒に利用したいと思えるサービスを提供できれば、この構造の上を滑るようにアプリへの招待が送られ、またたく間にアプリのユーザーを獲得していくことが期待できます。
そしてこの構造は、何も新規ユーザーの獲得だけに効果的であるというわけではありません。
アプリ上で利用できるコミュニケーションフィードや、ボイス、フォトなどの多くのコミュニケーションチャネルを使って友人がアプリを楽しんでいる情報が供給されることで、そのアプリへの興味を再加熱させ、既存ユーザーの足を向かせることもできます。
さらに、友人が数人参加するだけで、そのアプリには高いネットワーク外部性*が働き、一緒に使っている友人が増えれば増えるほど、アプリを継続するメリットが強まって行きます。
さて、だんだんと、新規ユーザーの獲得、再訪率、継続性、どれをとっても、友人特化型のアプリの方が良いことがありそうだと思えてきたのではないでしょうか。
*ネットワーク外部性とは、加入者数が増えれば増えるほど、1利用者の便益が増加するという現象のこと(Wikipediaより)
次回は、このソーシャルグラフを有効に使っている実際のアプリをご紹介します。